同人誌感想「奇跡の速さで」 サークル:だーくさいどるーむ
サークル「だーくさいどるーむ」の艦これ本、「奇跡の速さで」の紹介?感想?……よくわかんないアレです。いつものアレです。
第六駆逐隊に定評のあるサークルさんですが、今回は雪島本ですね。いやぁ良いものでした。
表紙画像はpixivより引用させていただいております。
メロンブックス :在庫あり
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=132953
とらのあな :在庫あり
https://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/32/74/040030327467.html
スレた雪風と熱い雪風の本
この本は簡単に言ってしまうとスレた雪風が諦めない島風に心動かされる本なのですが、キャラクターの掘り下げが素晴らしく、キャラとしてではなく個人として彼女たちを見れるのがいいですね。
艦これはそもそも帝国海軍艦艇の擬人化です。ボイスだけでもそのキャラの性格をうかがい知ることができますが、史実と絡めることでさらにギャップや深みを与えることができるんですね。
スレた雪風
艦これ雪風といえば無邪気系ビーバー(おい ですが、史実では主要作戦に参加しつつ大きな被害のなかった奇跡の駆逐艦として有名です(参考:wikipedia)。ただそれは裏を返せば多くの戦友の死を見てきたということで、その上で無邪気な笑顔を向けるという意味を考えることができます。
この本ではその笑顔はうわべだけのもので、本当はすべて諦めきってしまった子という解釈がなされています。悲しいですが、そうならざるをえない重さというのは確かにあるし、史実を鑑みるとそうなってしまう説得力があります。
生き残るということ、託されるということは、取り扱いを間違えると、呪いと同等になってしまうんですね。
熱い島風
雪風の対比として、絶望的な状況でも諦めない島風がこの本では登場します。艦これ島風は無気力系アホの子(おい ですが、やはりこちらも史実反映なのかなぁと思ってます。
というのも駆逐艦島風は苛烈な航空攻撃に晒されて、最期は単艦で沈められるというもので、wikipediaでは
救援に接近しようとした朝霜は機銃掃射のため接近を断念。松原先任参謀より「帰れ」の命令があって朝霜は避退し、島風はオルモック湾に単艦残されることになった。
と記述されています。あんまり詳しく調べてないのでそこまではっきり断言はできないのですが、最期は一人になってまで戦ったというところが、この島風の諦めなさと熱さに繋がってるのかなぁと思っています。
二人の対比
調べてるうちにわかったのですが、島風の多号作戦、雪風の坊ノ岬沖海戦を比較すると、同じ苛烈な航空攻撃で、沈んだ方と生き残った方と考えることができます。どちらも過去の絶望的な状態で(というか大戦末期は色々絶望的)、互いにどのような結末を迎えたか、というので決定的な違いになってしまったのでしょうね。
というか、沈んだ方が諦めなくて、生き残った方が色々諦めてるというのが興味深いです。
王道ストーリーの中に隠れる深み
ストーリー自体は”諦めなかったやつが勝つ”、シンプルで王道です。
ただそこに2人の史実を絡めて、単純なキャラクターではなく、それぞれの生きた歴史を持つ”艦娘”として書くことで、この「2人が勝ち取った勝利」に変わります。
話としての要素と結末はよくあるものでも、”この2人だから生まれたストーリー”ということなんでしょうね。
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