NFUF001 プラズマの外部露出
2016/01/02
先日、マクロスFの主役機、VF-25の詳細解説本を読みました。
マクロスに出てくる可変戦闘機は、その大半が核融合動力で、オーバーテクノロジーの重力制御を使っているという特徴があります。
VF-25の解説では、そのエンジンの断面図が掲載されていたのですが、想像の斜め上の構造をしていました。
書籍の記憶を頼りに作成
上図のように熱核反応の主体となるプラズマが、外気に露出しているのです。
そもそも、核融合プラズマと言うのは反応を起こすために水素プラズマが高い純度で存在する必要があります
不純物は電離した際に1原子あたりの電子放出数が燃料原子(水素同位体)より多いため,不純物がプラズマに混入すると,プラズマ中に電子を大量に供給します。その結果,電子密度よりもイオン密度が下がるため,不純物密度が多くなると必然的に燃料密度が下がり,その結果,核融合反応率も減少してしまいます。
放射強度や燃料希釈効果を考慮すると,炉心プラズマが許容できる不純物の割合は,炭素(低原子番号材料)では10^-2程度,W では10^-4~10^-5となります。炭素では主に燃料希釈効果で許容量が決まり,W の場合は放射損失で許容量が決まります引用:連載講座 よくわかる核融合炉のしくみ 第5回 プラズマに 面する耐熱機器―核燃焼プラズマの熱負荷に耐える壁
p.268 2.壁材料の炉心プラズマへの影響
URL:http://www.aesj.or.jp/~fusion/aesjfnt/rensai/rensai05.pdf
要するに、プラズマに不純物が混入するとプラズマ内の燃料割合が下がり、
反応が起きづらくなると言うことです。
完全に密封されている炉でも、プラズマが接触する壁面からの不純物混入が悪影響を及ぼすとされているのに、完全に露出したらどういう結果になるのかは明らかです。
では、どうしたらあのような構造が可能となるのでしょうか。
図面に描かれているプラズマ領域の全体を核反応領域と考えずに、
コイル付近の奥まった領域のみが核反応領域
と考えると意外としっくり来ます。
外部に露出している領域と、コイル部の領域の接続面は不純物が反応部に混入しないように、何らかの遮蔽がされていると思います。
よって、外部露出しているプラズマ領域は既に核反応がほとんど発生していない残りかすのような物で、反応によって発生した熱を外気(もしくはプロペラント)に伝える媒体としての機能を持たせているのではないでしょうか?
プラズマ自体を熱の媒体として使用する最大のメリットは、流入気体の温度を簡単に上げられることだと考えています。
密閉型の核融合炉は、気体加熱部がどうしてもラジエータのような固体-気体での熱交換になってしまいますが、
開放型の核融合炉は、プラズマ-気体での熱交換が可能となります。
熱交換に使用されるプラズマ全体の熱量も考慮する必要がありますが、単純に固体よりもプラズマの方が温度を高く取れるので、その分有利だと考えられます。
従って、可変戦闘機のバケモノじみた推力はプロペラントをプラズマで直接加熱することによって得られているのではないかと考えられます。
いずれにせよ、面白い構造であることには違いないです。